ここまでに至るまでに、肩、首、上肢も治療していますが、手の末梢を治療しなければ、 今までの治療は無になると言っても過言ではないと考えています。 例えば、マラソン選手が折り返し地点の手前で帰って行けばどうなるでしょうか? 完全な失格になります。 私は血液の循環も同じことが言えると思います。 また手の甲には腰の反射点、指の付け根には肩の反射点、手首には生殖器の反射点など非常に大事な反射点があります。 また爪の生え際には井穴と言って気の出て行くとされるツボがあります。 以上の事から手の末梢の治療も絶対に外してはいけない場所です。
仙腸関節とは仙骨と腸骨を繋ぐ関節です。 整形外科では仙腸関節は「臨床の対象にならない! 仙腸関節がズレる事などありえない!」と言われるDrが多々おられます。 私は絶対にそうとは考えていません。 上の写真のように仙腸関節にローリングする事により、骨盤のゆがみ、股関節の開き、下肢の長短、これらがすべて改善します。 また私は仙腸関節は体を支持する要の関節だと考えています。 整形外科では仙腸関節よりも恥骨結合を重視します。 恥骨結合はレントゲンではっきりとズレが分かったり、また疲労骨折の多い箇所でもあり非常に大事な所でありますが、 私は仙腸関節も治療において、絶対に無視できない箇所だと考えています。
症候器という器具で、腸骨、脊骨、肋骨に沿ってローリングを施していきます。 これは熟練した技術が必要です。 まず最初に腸骨稜と言って腸骨に沿って治療していきます。 この腸骨に沿って治療していくと、腸骨にこびり着いた“しこり”(血液のうっ血した部分)を感じます。 この“しこり”を丁寧に治療していきます。
そして腰の治療にも入っていきます。 腸骨稜、腰部の“しこり”を丁寧に治療する事により、腰の動き、内臓の動きは非常に良くなります。 また、この箇所には非常に大事な反射点もあります。 右側 腹部から右腰部にかけての反射 右腰痛、右腎臓、肝臓、胆のう、膵臓、十二指腸 左側 腹部から左腰部にかけての反射 左腰痛、左腎臓、脾臓、胃、心臓 以上の事から側腰部から腰部にかけての治療も非常に重要な箇所です。
股関節、殿部は潰瘍過敏帯(胃の反射区)、腸骨翼上部(胃下垂、胃炎、下痢の反射点)、内臓区、腰痛帯、股関節帯、坐骨神経帯と言う反射区が密集している箇所です。 内臓、とくに胃の治療をするには絶対に外せない箇所です。 また股関節、殿部を丁寧に治療する事により、股関節はもちろんの事、腰背中、肩、膝、足首などすべての関節が緩んで行きます。 股関節、殿部も治療の要になってきます。
この場所は経絡で言う「足の小腸胆経」が走行している所です。 胆のうの治療になってきます。 胆のうとはコレステロールを排泄するのに非常に重要な臓器です。 胆のうと言えば胆石を思い浮かべる人が多いと思います。 従って大腿外側部をローリングする事により、胆石の予防またコレステロールの早期除去に役立つため、動脈硬化の予防、治療になると私は考えています。
この部位を治療すると、「くすぐったい!」と訴えられる方が多々います。 それは、この部位はリンパ節の集中している所で、老廃物が留まり易いためです。 「こんな所、くすぐったいのは当たり前!」と言われる方も多いですが、やはり「くすぐったい!」と言う事は、それなりの理由があると言う事です。
また、鼡径動脈と言う下肢に行く動脈が走っている所です。 この鼡径動脈が枝分かれして下肢全体に血流を送っている訳ですが、この鼡径動脈の拍動を触れない方がおられます。 これは下肢全体の血流が悪くなっていると言う事です。 したがって鼡径部を治療すると言う事は、下肢全体に血流を流す基本となってきます。
また、この鼡径部に痛みを訴える方も、よくおられます。 とくに最近はスポーツ選手によく見られ、スポーツヘルニアと言う疾患名もあります。 (スポーツヘルニアについての詳しい説明は、ここでは控えさせて頂きますが、鼡径ヘルニア(脱腸)とは全然意味は違います。) この症状で悩まれておられるスポーツ選手は非常に多いです。 したがって、鼡径部の治療も非常に大事な所です。
私はハムストリングスは体のポンプだと考えています。 なぜなら、この場所をほぐせば体中の緊張が取れて行くと言う事です。 もちろんハムストリングスの治療だけでは完全ではありませんが、私は上記している事は決して間違っていないと思って 患者さんの治療に当たっています。
また主要な経絡に足の太陽膀胱経があります。 膀胱は尿を溜める重要な臓器です。 この膀胱に血流障害を起こせば血尿、尿がうまく排泄できないと言う障害を起こします。 水を溜める壺を思い浮かべて下さい。 この壺の手入れが悪ければ「ひび割れ」が出てきます。 私はこの「ひび割れ」が血流障害によって膀胱でも同じ事が起きると考えています。 血流障害を受けて膀胱が動きが悪くなり、尿がうまく排泄できない。 「ひび割れ」が起こる事により血尿を発生する。 最近は膀胱癌と言う言葉もよく聞きます。 私はハムストリングスの治療をする事により、膀胱の治療を施していると考えています。
足の裏の治療について極論かもしれませんが、体全体の治療になると私は考えています。 と言うのは、足の裏には体の各臓器、各組織、すべての反応点があります。 この反応点を診ながら治療すると言う事ですが、やはり、この反応点も「しこり」となって現れます。 私はこの「しこり」をお寿司屋さんにある「いくら」に例えて治療します。 この「いくら」を壊さずに治療をしていく訳です。 したがって、きつい刺激で治療をすると、この「いくら」を破壊すると私は考えていますので、痛がらすような治療は絶対に行いません。 「いくら」を壊さず、体全体の各臓器、各組織をイメージして足の裏の治療を施すと言う事です。
また、足の裏には湧泉(足の小陰賢経)と言う経穴(ツボ)があります。 この経穴は体に分布される十二経絡を巡った気が最後に出て行くとされる経穴です。 (ちなみに、入口とされ気が入って来るとされる経穴は労宮〔厥陰心包経〕と言う手のひらにある経穴です。) 足の裏の治療は気の流れを良くする治療でもあります。
頭部には生殖区、腸区、胃区、肝胆区、胸腔区、高血圧、パーキンソン氏病、下肢の運動・上肢の運動、顔面神経、 言語障害、偏頭痛、顎関節と言った大事な反射点があります。 また私が最近注目しているのは頭部から少し下りた顎関節(あごの関節)です。 と言うのはこの顎関節に痛みが出る方が最近よく見かけるようになりました。 これは子供にも多いです。 これを顎内障と言いますが、私はこれはまさしくストレスの賜物だと考えています。 もちろん顎関節の反射点もありますが、上記している事を意識して顎関節を治療する事により、ストレスも取れるはずだと 私は考えています。
また、頭部にローリングをすると、非常に硬く“うっ血”して頭部の筋肉がカンカンになっている人がいます。 頭蓋骨は前頭骨、側頭骨、頭頂骨、後頭骨からなっています。 これが矢状縫合、冠状縫合、ラムダ縫合、鱗状縫合(これがすべてではありません。)で連結し合っています。 頭蓋骨は一つの骨ではありません。 頭蓋骨の縫合も他の関節と同じであり、ある程度の“ゆるみ”がなければいけません。 “うっ血”して頭部の筋肉がカンカンになってくると、この“ゆるみ”がなくなっていきます。 そして頭蓋骨にある脳ですが、脳と言うのも少しずつですが動いています。 頭蓋骨に“ゆるみ”がなければ脳を圧迫し、脳の動きを抑えていきます。 脳の血液循環が不良になり、機転が効かない、集中力がなくなる、物忘れが激しい、頭痛などの弊害が発生してきます。 頭部の治療は頭蓋骨をゆるめ、脳の働きを良くすると言う事です。
頭部から顔面の方にもローリングする事により、頭蓋骨(前頭骨、側頭骨、頭頂骨、後頭骨)、顔の骨(頬骨、上顎骨、下顎骨など)の バランスが整います。 ストレスが溜まり、頭部、顔面の筋肉が“うっ血”して硬くなってくると、顔がゆがんでくる方がおられます。 頭部から顔面にかけての治療で、美顔にも役立つと考えています。